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介護離職は企業にも大きなデメリット~離職防止に向けた支援策~ ノウハウ

介護離職は企業にも大きなデメリット~離職防止に向けた支援策~

家族の介護を理由に、仕事を辞めてしまう「介護離職」が社会問題になっています。収入減や精神的・肉体的負担を伴う介護者本人はもちろん、介護離職は企業側にも大きなデメリットをもたらします。当記事は、介護離職の現状と問題点、仕事と介護の両立支援制度、企業が取り組める離職防止の支援策について解説します。

介護離職とは

介護離職とは、介護が必要な家族のために仕事を辞めることです。日中フルタイムで働き、帰宅後に介護を行う状況が継続すると、介護者には心身の深刻な疲労が蓄積し、やがて仕事との両立ができなくなり、本人も望まないまま離職に至ってしまうことを言います。
介護とは高齢の親だけでなく、配偶者や子の場合もありますが、それを担う年齢層の多くは親の介護を必要とする40~50代の働き盛りです。これは企業にとっても、経験を積んだベテラン層の社員が抜けるため大きな損失となってしまいます。

人事労務担当の方が、家族の介護と仕事を同時に抱える‟ビジネスケアラー”について、正しい知識を持ち対応できれば、離職を防止できるのではないでしょうか。

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介護離職の現状と問題点

現在、介護離職者の数は、年間約10万人にも上ります。 総務省統計局の調査では、介護・看護のために離職した人は、2022年(令和4年)の1年間で10万6,000人と発表され、2017年と比較すると7,000人の増加です(※図:表8-4)。

2025年(令和7年)には、すべての団塊世代が後期高齢者(75歳以上)となり、高齢化率(総人口に占める65歳以上人口の割合)は、29.6%になるとされています(※注1)。国民の4人に1人が後期高齢者となる超高齢化社会が到来する中、何も対策を講じない場合、介護離職者のさらなる増加という問題が考えられます。

(図:表8-4)出典:令和4年就業構造基本調査結果 p.28 表8-4|総務省統計局
※就業構造基本調査は5年ごとに行われるもので、令和4年(2022年)調査が最新版です。
(注1)出典:内閣府「令和6年版高齢社会白書」p.3

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介護離職によるデメリット

介護離職は、離職者側(従業員)にとって収入源がなくなるため経済的に困窮するケースも多く大変な負担になることはもちろん、企業にとっても大きなデメリットがあります。

離職者側のデメリット

介護離職は、転職や独立による離職とは違い、従業員本人にとって決して望ましい離職とは言えません。特に収入の減少は、経済的に大きな不安をもたらします。

厚生労働省による「令和元年度仕事と介護の両立等に関する実態把握のための調査研究事業(p.2)」によると、介護離職経験者の平均年齢は49.4歳です。この年代は、一般的に住宅ローンを抱えていたり、子どもの教育費にもお金がかかったりする時期と重なります。

また、一度離職してしまうと再就職もしづらく、キャリアが分断されてしまいます。キャリアが途絶えれば本人の生涯年収にも大きな影響を及ぼします。自身の退職金や年金額も減ってしまうため、長期的に見ても経済的なデメリットはかなり大きいと言えるでしょう。

離職者側のデメリット

企業側のデメリット

従業員の介護離職は、企業にとって大切な人材の流出につながります。
前述のように、介護離職は企業の軸となる40~50代に多い問題です。この年齢層の社員は管理職・マネジメント職であることが多く、ベテラン層の離職は企業にとって人員配置、業績にも大きなデメリットをもたらします。その影響は、業務のノウハウが共有されておらず、属人的な会社ほど深刻です。

さらに近年、生産年齢人口の減少による労働力不足が取り沙汰される中、補填となる人材の確保は困難を極めるでしょう。定年の上限年齢が延長され、2025年4月からは「65歳までの雇用確保」が義務づけられます。
企業側も離職者が復帰しやすいように、長期的な視点で制度や仕組みを整える必要があります。

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仕事と介護の両立支援制度

介護離職がもたらすデメリットについて、介護者本人(従業員)、企業に分けて説明しました。この章では介護離職を防ぐための制度について、詳しく見ていきましょう。


介護離職による損失の問題を重く見た政府は、介護離職防止策として2024年(令和6年)5月末に「育児・介護休業法」の改正案を提出しています。
本改正案には、介護離職防止を目的とした仕事と介護の両立支援制度の強化として、以下の4点が盛り込まれています。この改正は令和7年4月から施行される予定で、企業にとっては重要な法改正となります。

【育児・介護休業法】介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等

①労働者が家族の介護に直面した旨を申し出た時に、両立支援制度等について個別の周知・意向確認を行うことを事業主に義務付ける。
②労働者等への両立支援制度等に関する早期の情報提供や、雇用環境の整備(労働者への研修等)を事業主に義務付ける。
③介護休暇について、勤続6月未満の労働者を労使協定に基づき除外する仕組みを廃止する。
④家族を介護する労働者に関して事業主が講ずる措置(努力義務)の内容に、テレワークを追加する。

介護休業

介護休業は、介護を受ける対象家族1人につき3回、通算93日まで休業できる制度のこと。休業日数は「連続して93日間」や「30日ずつ2回+33日」など分割して取得することも可能です。

雇用保険の被保険者であり、かつ一定の要件を満たす場合は、「休業開始時点における賃金月額の67%」の介護休業給付金が支給されます。

介護休業

介護休暇

介護休暇は、1年に対象家族1人あたり5日まで、通常の年次有給休暇とは‟別枠”で休暇を取得できる制度です。例えば、デイサービス等への送り迎えや通院など付き添いが必要なときに、1日単位ではなく、時間単位で休むことも可能です。

介護休暇の際に給与が支払われるかどうかは、会社の規定次第です。賃金が支払われる企業もそうではない企業もありますが、もし無給でも仕事を辞めずに継続できるため、離職よりも経済的なリスクは低いと言えます。

介護休暇

所定外労働や時間外労働、深夜労働の制限

従業員が要介護状態の家族を介護するために申請した場合、会社は「所定外労働の免除(残業免除)」をしなければならないという決まりがあります。所定外労働とは、就業規則などで定められた勤務時間を超える労働のことであり、いわゆる残業を指します。

また、対象の労働者には、「時間外労働の制限(1カ月について24時間、1年について150時間を超える時間外労働をさせてはならない)」「深夜業の制限(午後10時から午前5時までの労働をさせてはならない)」も適用されます。

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企業が取り組める離職防止の支援策

介護離職は、企業にとっても多大な影響を及ぼすことは、前述の通りです。この章では、企業が介護離職を防ぐために取り組むべき支援策を探り、制度や仕組みの周知徹底、時短勤務などの働き方の見直し、相談窓口の設置・コミュニケーション強化について詳しく掘り下げていきます。

制度や仕組みの周知徹底

企業が介護離職を防ぐためには、まず自社の介護支援制度や仕組みを徹底的に周知することが重要です。例えば、介護休暇の利用方法や申請方法を明確にし、社員が容易にアクセスできるようにする必要があります。 定期的な研修や社内ニュースレター等を通じて、これらの制度についての情報を繰り返し伝えることで、介護休業を取得しやすい職場風土をつくることも大切な取り組みとなります。

イノベーションの創出

時短勤務など働き方の見直し

介護離職を防止する支援策として、多様な働き方ができる仕組みづくりも重要です。 「育児・介護休業法」第23条では、要介護状態にある対象家族を介護する労働者について、連続する3年間以上の期間における「所定労働時間の短縮等の措置」が事業主に義務付けられています。

時短勤務など働き方の見直し

【所定労働時間の短縮等の措置】具体例
時短勤務 / フレックスタイム制度 / 時差出勤 / 在宅勤務・テレワーク

柔軟な働き方の提供に、時短勤務やフレックスタイム制度の導入が挙げられます。介護が必要な時間に合わせて勤務時間を調整できれば、社員は介護と仕事の両立がしやすくなります。
勤務時間の短縮だけでなく、職務の一部を他のチームメンバーと共有する「ジョブシェアリング」などの方法も有効です。これにより、介護を行う社員の負担を分散させることができ、全体としての業務の安定性も保たれます。

さらに、在宅勤務やテレワーク、一部リモート勤務の導入も、介護をしながら働く社員の負担軽減に寄与します。企業はこうした制度の整備と適切な運用を通じて社員のストレスを減らし、介護離職のリスクを最小限に抑えることができます。多様な働き方を認めることで、介護を必要とする社員が安心して長く働き続けられる環境を整えることができるのです。

相談窓口の設置・コミュニケーション強化

介護に関する問題や悩みを抱える社員が気軽に相談できる窓口の設置は、離職防止において大変重要です。介護に直面する当事者は、自身が休みを取得すれば「チームや周囲に迷惑をかけるのではないか」などと不安に感じ、相談をためらうケースも少なくありません。

第三者的な立場として専任の相談窓口を設け、介護に関する悩みをフランクに話せる環境を整備しましょう。介護や休業に関する質問に対して専門的なアドバイスやサポートを提供することで、社員の不安を軽減し、迅速な解決策を提案できます。

また、定期的なコミュニケーションを強化することも欠かせません。管理職や人事部門が、社員と対話を行い、介護に関するニーズや困りごとを把握することで、より的確な支援を行えるようになります。このような取り組みにより、結果的に離職のリスクを大幅に低減することができます。

心理的安全性の向上

介護と両立して働ける職場環境を

介護離職は、本人のキャリアや人生に多大な影響を与える選択です。一時的に身体的な負担は軽減されても、経済的・精神的な不安から離職を後悔するケースは少なくありません。

また、企業にとっても貴重な人材を流出させてしまう大きな損失となります。介護者本人と企業が互いに良い状態を実現するには、企業側が率先して介護離職を防ぐための仕組みづくりに取り組むことが大切です。 まずは介護休業・介護休暇の仕組みや、法律で定められている措置を正しく理解することが必要です。その上で、自社の従業員に合った制度を整え、介護と両立しながらも安心して働ける職場環境を目指しましょう。

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