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DX推進の足かせに!? IT人材不足の現状と企業にできる対策

IT技術が日進月歩で発展し、DX推進が叫ばれる世の中。しかしながら、そのDX推進に歯止めをかける要因の一つにIT人材の不足があります。IT人材は、経済産業省の発表によれば2030年には最大で約79万人も不足するとされています。当記事では、IT人材不足の現状と背景、企業にできる対策、アウトソーシングの有効活用について解説します。

日本のIT人材不足の現状

経済産業省の発表では、2030年には最大で約79万人のIT人材が不足するとされています。さらにIT人材の平均年齢も高齢化が予測されており、ITニーズの増加に伴う需給ギャップの拡大も懸念材料となっています。

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【出典】経済産業省:「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果 ~ 報告書概要版 ~」7ページ

「IT人材」とは?

IT人材とは「中小企業白書(2016年版)」によると、ITの活用や情報システムの導入を企画、推進、運用する人材と定義されています。主に情報技術(Information Technology)に関する分野で活躍する人材を意味し、3種類に大別されます。

従来型IT人材】
ITツールの運用・保守、請負開発ができる人材。既存ツールを運用できること、要求に応じたプログラミングができることなどが求められます。具体的な職種としては、システムエンジニアやプログラマーなどです。

【高度IT人材】
画期的な商品・サービスを生み出すなど、ITを戦略的に活用できる人材。例えば、経営戦略の立案を行うIS(Information System)アナリストやコンサルタント、生産性の向上を実現するITアーキテクト、技術革新および新たなサービスを創造するソフトウェア・デベロッパーなどが挙げられます。

【先端IT人材】
AIや機械学習、IoTなどの最先端技術を理解・習得している人材。ビッグデータ、クラウドといった最先端技術を扱えるスキルを持ち、それらに関するセキュリティの知識も有している必要があります。具体的な職種としては、AIエンジニアやデータサイエンティスト、クラウドエンジニアなど。

中でも、DX推進を担う先端IT人材「DX人材」へのニーズは急速に高まっており、その人材不足は深刻な問題です。

IT人材不足が起きる背景

IT人材はなぜ不足しているのでしょうか。社会的な背景から考察します。

少子高齢化による労働力人口の減少

急速に進む少子高齢化による労働力人口の減少があります。経済産業省「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によると、「我が国の人口減少に伴い、IT関連産業への入職者数は減少する見通し。近い将来にIT人材供給力は低下し、IT人材全体の規模は減少に向かう可能性がある」と示されています。同時に、IT人材の平均年齢は今後2030年まで上昇を続け、人材の高齢化が進むとも予測されています。

【出典】経済産業省:「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果 ~ 報告書概要版 ~」6ページ

レガシーシステムへの対応

レガシーシステムとは、老朽化のうえ、肥大化、複雑化し、ブラックボックスと化したシステムのことを言います。現在、日本の企業が保有している基幹システムの多くはすでに老朽化していると言われており、システムが老朽化、複雑化すると重要な部品の供給が難しく、改修が困難になる弊害が生まれます。また、レガシーシステムのプログラミング言語を理解し、取り扱うことのできる人材も高齢化により減少し続けているのが現状です。

IT技術の進歩・IT需要の拡大

IT人材が不足する理由として外せないことの1つに、IT技術の進歩と市場の急成長があります。インターネットの普及から始まり、AIやIoT分野が飛躍的に発展、さらには5Gの普及など、その技術は日進月歩です。
また、「働き方改革関連法」の施行やコロナ禍によって、リモートワークやオンライン会議が広く浸透しました。オフィスワークのみならず、農業や漁業といった第一次産業でもITは欠かせないツールとなり、あらゆる分野・業界でITが導入されるようになってきています。

これら複合的な要因によりITへの需要が加速度的に拡大し、IT市場は急成長を遂げています。IT需要が拡大しているにもかかわらず、それに対応できるスキルを持つ人材育成が追いついていないこともIT人材不足の背景に挙げられます。

IT人材が不足することによる影響

IT人材が不足することにより、企業はどのような影響を受けるでしょうか。懸念される影響は3つです。
 ・情報セキュリティリスクが高まる
 ・システム開発や改善への対応が遅れる
 ・エンジニアへの業務負荷が増す

情報セキュリティリスクが高まる

多くの顧客データを保持する企業にとって、セキュリティ管理は大変重要です。情報セキュリティに関する知識を持つIT人材が不足すれば、企業の情報漏えいリスクが高まります。万が一、情報漏えいトラブルが起きれば、企業のコンプライアンス、信用問題に関わり、存続が危ぶまれる事態にまで発展する可能性があります。

システム開発や改善への対応が遅れる

AIやIoT、ビックデータ解析などを扱うシステム開発は、今後の市場競争を勝ち抜くために重要です。必要なスキルを持つ人材が不足すると、競合他社に遅れを取る可能性も否めません。開発が遅れるだけでなく、システムの不備などトラブルに見舞われた際にIT人材がいなければ、復旧や改善に多くの時間を要してしまいます。

既存エンジニアへの業務負荷が増す

IT関連業務の需要が高まる中、企業が新たにIT人材を確保しなければ、既存のエンジニアにかかる業務負担は増える一方となります。これによる労働環境の悪化が懸念されるところです。結果として、既存のエンジニアやIT人材の不満が蓄積し、より好条件の企業への転職など、離職につながるケースも考えられるでしょう。

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IT人材不足を解消するため企業にできる対策

IT人材が不足する背景を理解したところで、企業にできる対策について考えます。

IT人材の育成・確保

社内の従業員にIT教育を実施し、IT人材へと育成することが一つの方法として考えられます。常に更新されるIT技術に対し、従業員が適切にスキルを習得できるよう教育研修制度を整えましょう。外部講師の招聘、社内勉強会の実施など、従業員それぞれのITスキルに応じた研修プログラムの整備が必要です。

既存システムの維持・保守業務に従事しているエンジニアに対しては、従来型ITから先端IT、DX分野へのスキルシフトが求められます。企業側には、DX分野に従事するために必要な技能を習得できるような支援が必要でしょう。それには、経済産業省が定める「ITスキル標準(ITSS)」や「第四次産業革命スキル習得講座認定制度」の活用をおすすめします。

データサイエンティストへの期待

採用活動面で考えた場合に、DX分野に精通した学生へのリクルートも一案です。
近年、各大学においてデータサイエンス学部の増設が目立っています。データサイエンスは、多種多様なデータから社会の課題解決などに有益な知見を得る学問分野のこと。データサイエンティストとは、統計学や数学、AIなどを駆使して膨大なデータを分析し、事業に有益な活用方法・解決策を提案する職業です。
ビッグデータの活用が注目される中、データの分析結果に基づく課題解決能力は非常に重視され、需要も高まっている職種です。IT人材不足への対応策として、データサイエンス学部に焦点をあてた採用活動を行うことも有効かもしれません。

デジタルツール活用による業務のシステム化

RPAやチャットボット、社内wiki(ナレッジの共有)などのデジタルツールを活用することで、顧客対応業務をはじめとする業務をシステム化でき、必要な人員を減らすことが可能です。
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは、データ入力や資料作成といったパソコン等を用いて人の手で行う定型作業を、ソフトウェアに組み込まれたロボットを利用して自動化する仕組みのこと。具体的には、データ入力・登録、Web情報収集・分析、電話やメールのサポート業務を行うことができます。

業務のシステム化にあたっては、まず現状ある業務の可視化から始めましょう。全業務の中でデジタル化や自動化できる業務を洗い出し、デジタルツール導入を検討します。まずは、「業務そのものを減らせないか」「業務にかける時間を短縮できないか」という視点から検討し、費用対効果を検証してからツールの導入に踏み切ることが重要です。

多様な働き方の支援

政府による「働き方改革」により、多様な働き方が認められるようになっています。IT関連業務は、基本的にパソコンとインターネット環境があれば、どこでも可能です。会議や打ち合わせもオンラインで行えるため、フルリモート勤務を取り入れて働きやすい環境を提供する企業も増加しています。フレックスタイム制や時差出勤など、比較的自由な働き方を取り入れ、IT人材が自分のペースで働ける環境づくりも人材確保には有効です。
IT人材が働きやすい環境を整えることで離職を防ぎ、人材の定着を図ること、そこから新たな人材の採用へとつなげるのも良い取り組みと言えます。

IT化とDX化

アウトソーシングをより一層活用しよう

IT人材の不足には、対策を講じたところで一朝一夕に解消するものではありません。また、従業員が多い企業では、新卒人材の入社時期や新しいツール、ソリューションを導入するタイミングになると、膨大な業務が発生するものです。
このような場合に、アウトソーシングの活用が有効です。例えば、情報システムの設計や運用に人材不足が発生しているのであれば、この部分のみスポットで、時限的に委託することも可能です。IT人材不足時に有効なアウトソーシングサービスの例をご紹介しましょう。

コールセンター(ヘルプデスク)

企業の内外からITシステムやツールに関する問い合わせ対応を行うヘルプデスク業務は、その業務量や業務範囲の多さから人材不足に陥りやすいとされています。コールセンター、ヘルプデスク業務の見直しは、企業全体の業務効率化に大きく寄与するため、アウトソーシングは有効な手段だと言えます。

キッティング

ノートPCやスマートフォン、タブレットなど業務用デバイスの管理やキッティングを委託します。キッティングとは、PCやスマートフォンなどのデバイスに各種設定やソフトウェアのインストールなどを行う作業全般のこと。
新入社員の入社時や新たな事業所の開設、買い替え時期など、業務用デバイスのキッティングは、情報システム部門にとって煩わしい作業の一つに数えられます。近年では利用する機器も多様化しており、アプリケーションやツールの設定も複雑です。台数が多ければ多いほど工数も増え、作業場所や保管場所の確保にも苦慮していることでしょう。

また、テレワーク制度が全社に普及しているのに、情報システム部門だけはキッティングのために出勤せざるを得ないという企業も多く見受けられます。システムエンジニアの負担軽減策としても、アウトソーシングを検討してみてはいかがでしょうか。

営業支援システム(SFA)の導入

IT人材不足時の対策に業務のシステム化、デジタルツールの導入について前述しましたが、営業支援システム(SFA)導入も有効な手段と言えます。

ただし、SFAの導入にあたってはシステム構築が煩雑で、導入したものの運用がうまくいかないというケースが珍しくありません。「Salesforceを導入したが、システムに詳しい社員がいない…」「運用や保守をサポートをしてほしい」などのお悩みには、BODの「Salesforce導入・活用支援サービス」をおすすめします!

【BODの「Salesforce導入・活用支援サービス」】

BODは、Salesforceについて10年以上の運用実績があり、株式会社セールスフォース・ドットコムの認定コンサルティングパートナーとして、お客様にサービスを提供しています。この実績と自社における活用経験を生かし、Salesforce導入ご検討時からシステム構築、運用へと至るすべてのフェーズで伴走支援。「使われるためのツール」に育成、カスタマイズさせていただきます。

また、これら以外にも「フルアウトソーシング」という手もあります。必要なIT機器やシステム、関連する業務をすべて委託するサービス形態です。IT関連業務を丸ごと委託できるので、情報システム部門を持たない企業や、リソースをコア業務に集中させたい場合には大変有効です。

さまざまあるアウトソーシングサービスから自社に必要なプランを取捨選択し、賢く利活用することでIT人材不足を乗り切り、DXを推進していきましょう。

【参考資料】総務省:令和5年「情報通信に関する現状報告」(令和5年版情報通信白書) https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r05/summary/summary01.pdf

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