定常業務とは、日常的に行う必要のある業務のこと。企業運営には欠かせない業務ですが、これがコア業務の妨げになっているケースも見受けられます。この記事では、「そもそも定常業務とは?」をひも解くことで、業務効率化や生産性向上につなげる秘訣について解説します。
定常業務とは
定常業務の定義
定常業務とは、内容や手順、発生タイミングの変化がない、日常的に行う仕事を指します。言い換えれば「手順さえあれば誰でもできる」業務のこと。ルーティンワークと言えば、イメージしやすいかと思います。 ビジネスを構築するプロセスにおいて、定常業務は必ず存在します。だからこそ効率化するメリットが大きく、小さな改善でも積み重ねによって企業全体の生産性に大きな影響が出ます。
定常業務の例
では、具体的にはどんな仕事が定常業務に分類されるでしょうか。
経理 | 給与計算、経費精算、入金確認、定期的な支払い手続き、記帳 |
総務 | 各種申請のチェック、勤怠管理、備品管理 |
人事 | 入退社に関する情報管理・登録、各部門の管理者への通達、人事評価の発信 |
営業 | 顧客管理、受注管理、テレアポ、営業成績の集計、定期取引の見積り提供 |
情報システム/IT | 社内システムのチェック、サーバーの稼働確認、入退社に伴う社内システムのアカウント作成 |
どの部門にも何らかの定型業務があります。種類の多少はあるにせよ、定型業務のない部門はありませんね。
非定常業務とは
一方、業務の進め方が決まっておらず、発生タイミングも一定ではない仕事を「非定常業務」と言います。例えば、(1)顧客からのクレームや問い合わせ対応、(2)ミス書類の修正等トラブル対応、(3)顧客への営業提案資料作成、(4)急な欠員対応や部下の育成など。臨機応変な判断が求められるため、決まった人でなければ対応が困難なことばかりです。これらの業務はマニュアル化が難しいことも特徴です。
定常業務のメリット・デメリット
定常業務のメリット
- 人的ミスの低減
定常業務は、定められた手順に沿って繰り返し業務を進めるため、人的ミスが起きる可能性が減ります。作業プロセスに変化がないことこそ大きなメリット。人間が行う以上ミスがなくなるとは言えませんが、その確率が減ることは間違いありません。 - 誰が行っても一定の成果に
同じ業務を繰り返すことで、作業プロセスにブレが発生しづらいことが特徴です。判断する必要がなく手順が明確であるため、誰が行っても滞りなく業務を遂行することができます。そのため外注もしやすく、たとえ人事異動などで担当者が変わっても業務自体に大きな影響が生じにくいこともポイントです。
定常業務のデメリット
- マンネリ化によるモチベーション低下
同じ業務を繰り返す環境では、作業のマンネリ化が起きます。業務に対する新鮮さがなくなることは、従業員のモチベーション低下の要因に。士気が下がれば、作業パフォーマンスの低下につながるため、マンネリ化はできるだけ避けたいものです。 - スキルアップの機会損失
定常業務を繰り返すばかりでは、スキルアップに限界が生じます。同じ業務を行っていればスキルセットが固定化し、新たなスキルを習得する機会が得られません。これはキャリアアップを望む従業員にとっても、企業の人材育成の観点からも避けなければならない事柄です。
定常業務、定型業務、通常業務の違い
定常業務と似た言葉に、定型業務、通常業務があります。それぞれどこが違うのかを見ていきましょう。
定常業務と定型業務の違い
定型業務とは、手順が定型化された業務全般を指します。内容や進め方に変化がないという点で、定型業務も定常業務と同じであるため、同じ意味合いで使われることが多いです。ただ、定型業務は型が定まっているというだけで、「実施タイミングが決まっているか」、「定期的に実施されるか」との意味合いは含まないため、この点が大きく異なります。
定常業務と通常業務の違い
通常業務とは、平常時に行っている業務全般のこと。定常的に発生している業務、定型化された業務、たまにしか発生しない業務など、普段行っている業務全般のことを言います。よって、通常業務を細分化すると定常業務や非定常業務に枝分かれするというイメージです。
定常業務とプロジェクト
ここで、定常業務とプロジェクト業務の関係性について考えてみましょう。
定常業務とプロジェクト業務の関係性
定常業務を、企業運営のために必要な‟継続性のある”業務とすると、プロジェクトとは、‟有期的かつ独自性のある”業務を指します。例えば、新規事業の立ち上げや新サービスの展開など。ほかには、現状の問題を解決するために定常業務とは別に展開される業務も含みます。会社などの組織においては、定常業務とプロジェクトの2種類の業務が、同時並行的に進められている場合がほとんどです。そのため、2つの業務の関係性を理解することが、業務管理の効率化につながると考えられます。
定常業務をプロジェクト化し業務改善に
続いて、定常業務とプロジェクト業務の関係性についてマネジメント的な視点で考えてみましょう。それは、定常業務内の問題を解決するために、“プロジェクト化”すること。つまり、営業であれば顧客リスト作成やテレアポなどのルーティン化した業務を「期限を定め、その期限内に達成すること(=有期的)」を目標として取り組むのです。そうすることで、業務改善が実現できます。
業務の生産性を上げるための秘訣
ここまで定常業務とほかの業務の違い、関係性について考察してきました。この項では、業務を効率化し、より生産性を上げるための秘訣を紹介します。
現状把握
ルーティンワークという性質上、定常業務を効率化できれば、コア業務にあてる時間を増やせるようになります。そのためにまずすべきことは「現状把握」。個人やチームそれぞれの業務フローから、ミスや遅れの多い箇所など問題点を洗い出していきます。そのうえで、下記の通り分類します。
(1)問題点が多く強化すべき業務
(2)現状維持でよい業務
業務を分類できたら、それぞれの改善策を検討します。
(1)の強化すべき業務については、業務フローそのものを見直し、ペーパーレス化、テンプレート化できないかなど模索することに注力します。
(2)の現状維持でよい業務について。これはすでにマニュアル化されている、またはマニュアル化が可能であり、誰が行っても一定の成果を上げられるものと判断します。これらの業務は、RPAツールの活用による自動化を検討することがひとつ。ただ、RPAツールを導入するには手間もコストもかかります。(※RPA[Robotic Process Automation]とは、ソフトウェアロボットよる業務自動化技術のこと)
アウトソーシングの検討を
定常業務の効率化には、思い切ってアウトソーシングしてしまうことをおすすめします。この方法によりコア業務、より集中すべき業務に最大限の時間が確保できるようになります。これぞ、生産性向上の秘訣。
定常業務、ルーティン化した業務だからこそ、無駄もルーティン化している可能性はないでしょうか。定期的に見直す機会をつくり、効率化できる業務はないかを探ってみると良いでしょう。今後、日本の労働人口は減少の一途をたどることが予想されます。ゆえに、いかに一人ひとりの生産性を上げるかがより重要な課題となります。ノンコア業務はできるだけアウトソーシングし、業務を最適化していきましょう。
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