オンプレミスとは、企業や組織が自身の施設内にサーバーやネットワークインフラを構築し、運用するITシステムの形態を指します。オンプレミスはクラウドコンピューティングとは対照的で、企業は自社のデータセンターやサーバールームでシステムを運用し、データを自社内で管理します。
この記事では、システム移管を検討されている情報システム部の方やシステム管理者向けに、オンプレミスの意味や特徴、クラウドとの違い、メリットとデメリットを解説し、適切なケースについて紹介します。
自社のシステム導入、システム移管を検討されている方は、ぜひ今後の業務効率化に活かしてください。
オンプレミスの概念と定義
オンプレミスとは、企業が自社の設備内でITインフラを構築・運用する方法です。
本章ではオンプレミスの基本概念とその要素について解説します。
オンプレミスとは
オンプレミス(on the premises) | 「店内(構内)で」 |
※プレミス(premises)は英語で「建物」「店舗」「施設」を意味します。
ビジネスシーンでよく使用される、オンプレミス「on-premises」というIT用語は、企業が自身の施設内にサーバーやネットワークインフラを設置し、運用する形態を指します。
この方法は、企業がデータとシステムを自前で管理することを特徴とし、データセキュリティやカスタマイズ性を高めるための選択肢として採用されます。
自社内にシステムを構築・運用するため、オンプレミスには特定の要素が必要です。
システムの稼働やインフラの構築に必要な要素
オンプレミスを実現するためには、以下の要素が不可欠です。
データセンター:サーバーやネットワーク機器を収容し、冷却などの設備を提供する場所
サーバー:アプリケーションやデータのホスティングに使用されるコンピューター
ネットワークインフラ:データ転送や通信のためのネットワーク設備
ITスタッフ:システムの設定、監視、保守を担当する技術者や管理者
これらの要素を備えることで、企業はオンプレミス環境を構築し、自社内でシステムを運用できるようになります。
オンプレミスとクラウドの違い
オンプレミスとクラウドは、IT環境の運用と管理を行う上で必要になる要素を構築・運用する方が対照的です。
この章では、両者の定義と特徴に焦点を当て、システム環境や管理の違いについて詳しく解説します。
オンプレミスとクラウドの定義と特徴
オンプレミス | 前述の通り、企業が自社内でITインフラを運用する方法 |
クラウド | 外部のデータセンターやサーバーを利用して、オンラインでサービスを提供する方法 必要なリソースを必要な時に利用できる柔軟性があり、初期投資を削減できる特徴がある |
システム環境の違い
オンプレミス | 企業は自社内でサーバーやネットワークを構築し、物理的なITインフラを維持する必要がある |
クラウド | インフラストラクチャーはクラウドプロバイダーによって提供され、企業はそのリソースを利用する形をとるため、管理の負担が軽減する |
システムの管理者の違い
オンプレミス | 企業自身がシステムの設定、監視、保守を行うため、管理者を雇用する必要がある |
クラウド | プロバイダーがITインフラの管理を担当し、企業はアプリケーションやデータに焦点を当てることができる |
オンプレミスとクラウドの具体的比較
オンプレミスとクラウドを比較する際には、検討すべき要素がいくつかあります。
本章では、コスト、導入までの期間、リスク、障害対応、セキュリティ、およびカスタマイズ性の観点から、両者を比較します。
オンプレミス | クラウド | |
---|---|---|
初期費用 | 高価 | 安価 |
運用コスト | 固定費用が高い | 従量課金が一般的で、必要なときにリソースを拡張できる |
導入期間 | インフラの調達に時間がかかる場合がある | 迅速な導入が可能 |
災害リスク | 自己管理が必要で、災害に備えることが難しい場合がある | プロバイダーによってデータの冗長性や災害復旧が提供されるため、リスクが低い |
障害発生時 | 企業自身が障害対応する必要がある | 基本的にプロバイダーが障害対応を担当する |
セキュリティ面 | セキュリティを自社でコントロールできる | プロバイダーに一部依存するため、自社主体のセキュリティ対策が困難 |
カスタマイズ性 | 高いカスタマイズ性があり、特定の要件に合わせた設定が可能 | 制約がある場合がある |
オンプレミスのメリットとデメリット
オンプレミスのメリット
・カスタマイズ性: システムやインフラを自社のニーズに合わせて設計できる。
・管理の自由さ: 自社でセキュリティやリソースを管理できるため、コントロールが高い。
オンプレミスのデメリットとリスク
・コスト: 初期投資や運用コストが高い。
・運用負担: システムの運用や保守にリソースが必要で、人的負担が大きい。
オンプレミス環境の利点と課題を理解したら、次はどの環境が企業にとって適しているかについて検討してみましょう。
オンプレミス?クラウド?自社に合った環境の選び方
企業がオンプレミスかクラウドを検討する際、その決定は企業のニーズと状況が判断基準です。
この章では、オンプレミスが適しているケースとクラウドが適しているケースについて、おすすめの条件を紹介します。
オンプレミスが適しているケース
・大規模なデータセキュリティが必要な場合
・業界規制に準拠する必要がある場合
・高いカスタマイズ性が必要な場合など、特定の要件がある場合
クラウドが適しているケース
・柔軟なスケーラビリティが求められる場合
・初期投資を削減したい場合
・迅速な展開が必要な場合 など
つまり、規模や業界規制を重視するならオンプレミスを、柔軟さやコスト削減・迅速さを重視するならクラウドサービスを選定するとよいでしょう。
自社が何を目的にシステムを導入するのかという観点に立ち返って検討することがポイントです。
【ハイブリッドクラウドとは?】
ハイブリッドクラウドとは、オンプレミスとクラウドを組み合わせた環境で、柔軟性とセキュリティを両立させる方法です。
ハイブリッドクラウドはリソースの最適な利用とデータの冗長性を提供し、要件に応じてシステムを配置できる利点があります。
メリットを生かしたIT環境の整備と選択
企業がオンプレミスとクラウドを比較する際、まずは自社のニーズと状況を確認しましょう。
オンプレミスはカスタマイズ性やセキュリティの面で強みを発揮しますが、初期費用や運用負担がかかります。一方、クラウドは柔軟性やスケーラビリティがあり、初期費用を抑えられますが、セキュリティやデータのコントロールに関する懸念が存在します。
自身のニーズ、予算、セキュリティ要件を総合的に考慮し、適したIT環境を選択しましょう。
適切な選択は企業の成功に大きく寄与する要素の1つとなります。
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